極限防水の頂点へ:実力派・超々深度潜水腕時計3選

ダイバーズウォッチにおける「防水性能の限界」への追求は、もはや時計製造技術の頂点を争うレースと化しています。近年では、かつては3,900mが限界だった防水深度が、6,000m、さらには11,000m級へと驚異的な進化を遂げました。かつては試作段階のプロトタイプに過ぎなかったこれらの「パーフォーマンスモンスター」が、今や一般消費者も手に可能な製品として登場しています。ここでは、その中でも特に実力に特化した3モデルを厳選してご紹介します。
オメガ(OMEGA) シーマスター プロフェッショナル ウルトラ ディープ
型番: 215.30.46.21.03.001
時計界の「深海挑戦」において、オメガは2019年にマリアナ海溝の底への到達を果たしたプロトタイプを世に送り出しました。その技術を結晶化させたのが、2022年に発表された本モデルです。
45.5mmのケース径と18.1mmの厚さにまで実用化されたサイズは、過酷な深海環境下での実用性と、日常での着用性のバランスを両立させています。ケースには独自開発の「O‑MEGASTEEL(オメガスチール)」を採用。内蔵されるキャリバー8912は、シリコン製遊丝を備えたデュアルバレル(二重ゼンマイ車)構造の「マスター クロノメーター」で、60時間の動力储备と高い耐磁性能を備えています。
ロレックス(Rolex) ディープシー チャレンジ
型番: m126067-0001
現存する量産型腕時計の中で、防水性能の頂点に君臨するのがこのロレックスです。その極限の防水深度「11,000m」は、まさに文字通りの「深海挑戦」を意味します。
ケースは軽量かつ高強度な「RLXチタン(5級チタン)」で構築されており、外観の巨大さ(50mm径×23mm厚)を感じさせない着け心地を実現。特に注目すべきは、9.5mmにも達する厚さのドーム型サファイアクリスタル風防です。これは巨大な水圧に耐えるための設計です。
搭載されるキャリバー3230は、同社の新世代を象徴するムーブメントの「カレンダー無し」バージョン。70時間の動力储备を備え、「スーパー ロレックス クロノメーター」の認定を取得しています。
モンブラン(Montblanc) グリーンランド ゼロ オキシジェン
型番: 133268
「4810」という数字は、モンブランの名前の由来であるモンブラン山の標高(4,810m)に由来しています。43mmのチタンケースに秘められた19.4mmの厚さは、強力な耐圧構造の証です。
本モデル最大の特徴は、「ゼロ オキシジェン(無酸素)」技術です。ケース内部の酸素を除去することで、機械式ムーブメントの酸化リスクを低減し、長期間にわたる精度の維持と寿命の延伸を目指した独創的な試みです。裏蓋にはレーザー彫刻された氷河の模様が施されており、その下にはCOSC(スイス公式天文台)公認のキャリバーMB 29.29が収められています。120時間という長大な動力储备も見逃せません。
総括
以上に紹介した3モデルは、いずれも市販されているものの中でもトップクラスの防水性能を持つ「エクストリーム・ウォッチ」です。
オメガは、極限性能と実用性のバランスが最も優れていると言えるでしょう。
ロレックスは、11,000mという圧倒的な数字で、未だ破られることのない防水王座を守っています。
モンブランは、酸素を排除するという異色の技術で、従来のダイバーズウォッチの概念に挑戦しています。
これらの時計は、単なる時間計測器ではなく、人類の「未知なる領域への探求心」を象徴する、現代の機械工学の結晶といえるでしょう。