オーデマ ピゲ ロイヤル オークからCODE 11.59 、魅力的な新作が発表された。

オーデマ ピゲの春のメインアクトはジョン・メイヤーモデルだったかもしれないが、ほかにも見たことないカモフラージュ柄など、魅力的な新作が発表された。

今年もこの季節がやってきた。私たちは皆、Watches & Wondersで発表される豊富な新作を心待ちにしている(場合によっては気を引き締めている)。しかしショーに参加しないブランドになにも進展がないわけではない。例えばオーデマ ピゲは今週、イタリア・ミラノにある有名な旧ガレージ・トラヴェルシにある、新しいAPハウス ミラノのオープンをお祝いした。それは半年に1度行われるメジャーリリース、その第1弾を発表する絶好の機会でもあった。

Duomo Milan
ミラノのドゥオーモは、近くの工事が終わればさらに素晴らしい光景になるだろう。

AP Milan
入口には、ミュージアムからやってきた多くの歴史的モデルが展示されていた。

Sebastian Vivas Piano
正直、オーデマ ピゲのヘリテージ&ミュージアム・ディレクターであるセバスチャン・ヴィヴァス(Sebastian Vivas)氏がピアノを弾いているこの画像を掲載するための口実だ。

Flying Selfwinding Tourbillon
Wristcheckのオーステン・チュー(Austen Chu)氏が、スティール製ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワークとともに登場。

確かに、発表はロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー “ジョン・メイヤー”限定モデルが最も人気を集めたが、ほかにもカバーすべきモデルはたくさんあった。プレスプレビューでは、時計がものすごいスピードで次から次へと流れたため、時計を見て写真を撮ったら、1分後にはもう次のモデルに移っていたし、そのうちのいくつかには解き明かすべき革新もあった。流れていった時計ともっと時間を過ごす機会を得たいと思っている。しかし複数のストーリーを詰め込むのではなく、代わりにすべてのリリースを(ほぼ)要約できるよう全力で取り組もう。その前にまず、予備知識をどうぞ。

知っておくべきすべてのこと

SS製のRef.16204(ロイヤル オーク “ジャンボ” オープンワーク)はもうない。この時計は当初、50周年記念期間中の1年間のみ生産される予定だったが、今日まで少し長く生産されていた。
ホワイトゴールド製のCODE 11.59はない。このケース素材は、クロノグラフよりも複雑な時計に見られるかもしれないが、ラインナップをシンプルにするため、3針モデルとクロノグラフはピンクゴールドまたはSSのみとなっている。
素材といえば、APは素材の革新を続けており、ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワークでは、新色の“サンドゴールド”モデルが発売された。この色は、光の加減で大きく変化する。彼らはまた、昨年見たようなセラミックケースのロイヤル オーク オフショア フライング トゥールビヨン クロノグラフのプロトタイプを披露したが、カモフラージュ柄のモノトーンケースだった。そして、それは始まりに過ぎなかった。
最近のオーデマ ピゲはトゥールビヨンばかりだが、それは悪いことではない。37mmサイズの新作RD#3から、41mmサイズのロイヤル オーク トゥールビヨンの新色まで、3本のロイヤル オーク トゥールビヨンが発表された。
 準備はできたか? それではいこう。

ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク サンドゴールド、Ref.26735SG
Royal Oak Sand
新作のフライング トゥールビヨン オープンワーク サンドゴールド。

まず、新素材のリファレンス末尾に新しい記号がついたことについて説明する。サンドゴールドを初めて“SG”と入力した瞬間は興奮した。そしてジョン・メイヤー QP(パーペチュアルカレンダー)がいなければ、これがメインアクトだっただろう。ただ前提としてこれは何なのか。ブランド代表者が説明するように、彼らは常に新しい素材を試みている(1800年代の古い素材を研究して、“グリーンゴールド”のような色を得るための要素を調べるほどには)。金無垢はほとんどの場合、ほかの材料と組み合わせて、より強力な合金を製作しており、そのミックスさせる材料によって色が変わる。PGは1980年代半ばに登場して以来、同社のモデルラインナップのなかで徐々に重要な位置を占めるようになったが、純粋なピンクではない。混合物から銀を取り除き、パラジウムに置き換えることで、ベージュがかった18Kの41mm×10.6mmのケースを実現した。その後、2022年にロイヤル オークの50周年を記念して発売されたCal.2972のブリッジにも、同じサンドゴールド仕上げを施した。

RO Flying Tourbillon sand gold
上の画像を見て欲しい。それから下の画像も。同じ時計であることに、ショックを受けないで欲しい。また私の写真の腕に対するコメントでもない。パラジウムを使用しているため、光の角度によって、柔らかいピンクがかったベージュから銀色へと変化するのだ。これは久しぶりにできたお気に入りのカラーウォッチかもしれない。とてもロロ・ピアーナっぽいが、それに合う時計や服を買う余裕はない。

AP Royal Oak Flying Tourbillon
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク サンドゴールド。Ref.26735SG.OO.1320SG.01。18Kサンドゴールド製ケース、直径41mm、厚さ10.6mm、50m防水。サンドゴールドカラーのインナーベゼル、夜光塗料を塗布したホワイトゴールド製のアプライドインデックスとロイヤル オーク針。18Kサンドゴールド製自動巻きオープンワークムーブメントのCal.2972搭載、時・分、フライングトゥールビヨン、2万1600振動/時、パワーリザーブ約65時間、27石。18Kサンドゴールド製ブレスレット、APフォールディングバックル。25万ドル(日本での価格は要問合せ)。2024年6月発売予定

ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン(RD#3)、Ref.26660BC
RD#3 37mm White Gold
大げさではなく、37mmのRD#3は、オーデマ ピゲの長い歴史のなかで最も印象的なもののひとつだ。エレガントなトゥールビヨンを搭載した自動巻きムーブメントを、アイコニックな39mm×8.1mmの“ジャンボ”ケースに収めるには、大変な努力が必要だった。これはさらに直径を2mm削っている…見事だ。新作はプチタペストリーのスモークブルーダイヤルに、12個のバゲットカットダイヤモンドインデックスをあしらっている。WGケース(宝石をセットするのに最適な新素材)は厚さ8.1mm、50m防水、ベゼルには32個のバゲットカットダイヤモンドをセッティング。これはパープル文字盤の37mm RD#3を引き立てているが、私はダイヤモンドベゼルなしのオプションも見てみたかった。ダイヤモンドベゼルのないダイヤモンドインデックスは、非常に控えめな選択肢として素晴らしいだろう。

RD#3 37mm White Gold
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン RD#3。Ref.26660BC.ZZ.1356BC.01。18KWG製ケース、直径37mm、厚さ8.1mm、50m防水。プチタペストリー模様のスモークブルーダイヤル、12個のバゲットカットダイヤモンド(0.2カラット)インデックス、夜光塗料を塗布したWG製のロイヤル オーク針。自動巻きCal.2968搭載、時・分、フライングトゥールビヨン、2万1600振動/時、パワーリザーブ約50時間、33石。18Kホワイトゴールド製ブレスレット、APフォールディングバックル。24万ドル(日本での価格は要問合せ)。2024年4月発売予定

ロイヤル オーク クロノグラフ 41mm、Ref.26240BAとロイヤル オーク フロステッドゴールド、Ref.15550BA
こちらは2本でひとつのお得なセットである(ただし、ブティックでこのセットを買おうとしてはいけない)。ブランドは2本の新しいイエローゴールドモデルを発表したが、これはある意味オーデマ ピゲにとって当然のことだ。2000年代初頭にRG/PGが席巻したあと、ほかの多くのブランドはYGをラインナップに戻すのに時間がかかっている。ただオーデマ ピゲはそうではない。ブランドはさまざまな色の素材を豊富に取り揃えており、またテクスチャーにも興味深い工夫を施している。37mmのロイヤル オークに施されたイエローフロステッドゴールドは、キャロリーナ・ブッチの初代モデルから続く手作業による槌目模様である。41mmのROCはもう少しストレートな表現だが、37mmモデルと同様、ゴールドのサンバースト文字盤に、手作業によるダークバースト仕上げを採用している。

RO 37mm Yellow Frosted Gold
RO Chronograph Yellow Gold
どちらも私には合わなかったが、それでも興味深い試みであることは確かだ。クロノグラフのような、派手で大胆なYGウォッチは、再び姿を消すのではないかと感じている(最近、この時計に引かれる顧客をあまり見かけない)。しかし37mmモデルのような洗練されたオプションであれば、女性も男性も含めて多くの顧客を魅了するだろう。

RO 37MM frosted yellow gold
RO Chronograph Yellow Gold
オーデマ ピゲ ロイヤル オークフロステッドゴールド。Ref.15550BA.GG.1356BA.01。18KYG製ケース、直径37mm、厚さ9.1mm、50m防水。スモークYGカラーのサンバーストダイヤル、夜光塗料を塗布したYG製のアプライドインデックスとロイヤル オーク針。自動巻きCal.5900搭載、時・分・センターセコンド、日付表示、2万8800振動/時、パワーリザーブ約60時間、29石。鍛金加工による18KYG製ブレスレット、APフォールディングバックル。880万円(税込予価)。2024年6月発売予定

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク クロノグラフ。Ref.26240BA.OO.1320BA.02。18KYG製ケース、直径41mm、厚さ12.4mm、50m防水。グランド タペストリー模様のスモークYGカラーダイヤル、夜光塗料を塗布したYG製のアプライドインデックスとロイヤル オーク針。自動巻きCal.4401搭載、時・分・スモールセコンド、日付表示、フライバッククロノグラフ、2万8800振動/時、パワーリザーブ約70時間、40石。18KYG製ブレスレット、APフォールディングバックル。7万5900ドル(日本での価格は要問合せ)。2024年4月発売予定

ロイヤル オーク オフショア オートマティック 43mm、Ref.15605SK
AP Royal Oak Offshore Blue
私はロイヤル オーク オフショアの大ファンではないのだが、それはおそらくオフショアが“超ヒット”していた時代にいなかったからだと思う。それでも“カーキ”オフショアダイバーは心に刺さった数少ない例のひとつだった。おもしろいことに、彼らは私をからかうために新しい43mmのオフショアをトレイに乗せて持ってきた。おそらくそれが私をちょっとだけ説得するのに役立ったかもしれないが、この新しいラバーベゼルオフショアはなかなかクールである。43mm×14.4mmとやや大ぶりで、ダイバーズではないため防水性は100mしかない。しかしノンダイバー、ノンクロノグラフのROOにすることで、少し珍しい立ち位置としている。スモークブルーダイヤルには、新世代のメガ タペストリー模様、ロジウム仕上げのWGインデックス、夜光塗料を塗布したロイヤル オーク針、そしてブルーインナーベゼル(回転しないのは、先ほどもお伝えしたとおりダイバーズではないからだ)が採用されている。外側のブルーラバーコートベゼルは、2002年に発表されたロイヤル オーク オフショア ラバークラッド Ref.25940をほうふつとさせる。これはブレスレット以外にラバーを使用した最初の時計であり、それが戻ってきたのを見るのは楽しい。

Royal Oak Offshore Blue
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア オートマティック。Ref.15605SK.OO.A350CA.01。ステンレススティール製ケース、直径43mm、厚さ14.4mm、100m防水。メガタペストリー模様のスモークブルーダイヤル、夜光塗料を塗布したロジウム仕上げのWG製アプライドインデックスとロイヤル オーク針、ブルーのインナーベゼル。自動巻きCal.4302搭載、時・分・センターセコンド、日付表示、2万8800振動/時、パワーリザーブ約70時間、32石。ブルーラバーストラップ、 SS製のピンバックル(ブラックラバーストラップ付属)。368万5000円(税込予価)。2024年8月発売予定

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ5周年を記念して、小さくアップデート
信じられる? もう5年になるんだ。このコレクションは発売当初、若干(いや、かなり)酷評されたかもしれないが、ようやく本領を発揮したようだ。昨年リリースされた小振りな38mm CODEに加えて、文字盤のテクスチャーやインデックスが改善されたことで、オーデマ ピゲはその問題を解決したように見えた。今年はコレクションにいくつかの変更がある。まず、クロノグラフや3針のWG製CODE 11.59が姿を消した。コンプリケーションは、まだ対象外の可能性があるが、SSとWGはお互い近すぎて、自分たちの市場を共食いする傾向があると言われていた。そのため、今のところCODEが生産している唯一のゴールドバリエーションであるPGが、もっと増えることを期待している。

CODEにはあまり時間をかけられなかったが、これが私たちの所感だ。今回発表されたのは、38mmと41mmの3針自動巻きモデル、それと41mmのクロノグラフ。いずれもPGケースで、型押し文字盤が採用されていた。38mm×9.6mmのモデルでは、型押しテクスチャーの文字盤に、オリジナルのRef.5402 ナイトブルー クラウド50カラーを与え、それに対応するアリゲーターストラップまたはブルーのテクスチャーラバーが付属する。文字盤の色も、パウダーブルーとターコイズの中間のような、より鮮明なライトブルーもある。41mmの3針デイト付きには、昨年のSSモデルで見られたようなダークブルーとグリーンが展開。最後に、クロノグラフにはブルー、グリーン、ブラックのダイヤルオプションが追加され、すべてSSクロノグラフの型押しスタイルが採用され、大幅な進化を遂げた。

オーデマ ピゲ CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック。Ref.77410OR(38mm)、Ref.15210OR(41mm)。18KPG製ケース、直径38mm、厚さ9.6mmまたは直径41mm、厚さ10.7mm、ともに30m防水。ナイトブルー クラウド50・グリーン、ライトブルーダイヤル、夜光塗料を塗布したPG製のアプライドインデックスと針、ブルー・グリーン・ライトブルー・グレーのインナーベゼル。自動巻きCal.5900(38mm)またはCal.4302(41mm)搭載、時・分・センターセコンド、日付表示、2万8800振動/時、パワーリザーブ約60時間(38mm)または約70時間(41mm)。大きな竹班入りパール調の同色アリゲーターストラップ(38mm)または同色のラバー加工ストラップ(41mm)、ともに18KPG製のピンバックル。38mmは440万円、41mmは456万5000円(ともに税込予価)。2024年3月(38mm)または4月(41mm)発売予定

オーデマ ピゲ CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ。18K PG製ケース、直径41mm、厚さ12.6mm、30m防水。ナイトブルー クラウド50・グリーン・ブラックダイヤル、夜光塗料を塗布したPG製インデックスと針、インナーベゼル、3時位置と9時位置のサブダイヤルにゴールドの縁取り。自動巻きCal.4401搭載、時・分・スモールセコンド、日付表示、フライバッククロノグラフ、パワーリザーブ約70時間、40石。同色のラバー加工ストラップ、18KPG製のピンバックル。643万5000円(税込予価)。2024年4月発売予定